宝の石・・・宝石じゃない、宝の石。
ハリーポッターにもでてきた「賢者の石」。
ラピュタの「飛行石」。
宝の石をめぐる冒険物語は、いつも私たちをわくわくさせてくれます。
「夢の浮橋」は、実在する石の名前(銘)。
中国から日本にもたらされ、戦乱のさなかも後醍醐天皇が懐中に携えて愛でたという名石。
まさに宝の石です。
宝探しに行こう!
なんて言ったらイマドキ笑われちゃいますね。
でも、そんなふうに子供の頃、冒険物語に胸躍らせたあどけない情熱は、海岸の石探しなら簡単に実現できます。
危なくないし、安全だし、何の装備もいらなくて、ただふらりと立ち寄るだけ。だって海岸散歩だから。
新潟県糸魚川の海岸を散策する人の多くは、ほんとうにガチで(?)ヒスイを探して歩いています。
私のようにただ自分の好きな石をひたすら探す方がレアなのです。
でも、私が好きなのは、きれいだったり、おもしろかったり、創造的だったり、ただただ自分がわくわくする石、私にとっての宝の石なのです。
写真の石は、自然にできた模様が絵画のようで感動しました。
連なる山の向こう、紫の空は、夜の闇と朝焼けが混ざり合った夜明け間際のあの絶妙な色彩そのもの。
さらに、山の稜線が白んでいるのは、まもなく迎える来光のきざし。
海岸で拾ったままの、削っても描いてもいない自然石に、こんなに記憶とシンクロする風景の模様があるなんて不思議です。
そんな景色が、手のひらに収まる小石のなかにひろがっているのですから素敵です。
・・・学芸員さん曰く、
石が紫色なのと、点々と見える粒は鉄分。
山に見えるところは、地下の熱水があがってきて、その鉄分が縞状に染めて、酸化して茶色くなったもの。
山の稜線に見えるところは鉄分がしみ込みやすかったため濃くくっきりとした線になり、その部分が浸透しやすかったがゆえに、その脇の部分の鉄分もそちらに染み込みやすく、結果、そこ(私が夜明け前の空の白んだ感じと思ったところ)は白くなったまでのこと。
・・・だそうです。
地中深く、何千万年の時をかけて、地球が刻々と変化してきた痕跡というわけです。
でも、その痕跡が、このように美しい模様を形作っているのですからミラクルです。
こんな風に、絵画のような小石も、糸魚川の海岸にはたくさんころがっているのです。
海岸に星の数ほどころがっている小石の中から、自分にとっての宝の石を見つけ出すのですから、わくわくしないはずがありません。
すぐにでも行きたい!!宝探し!!
Hanapanda