シカ meets ブドウ。
猟師に追われたシカは
ブドウに出会って 繁みに身を隠す。
危機をやりすごせたシカは、ホッと一安心。
あろうことか ブドウの葉を
むしゃむしゃと食べ始める・・・その結末は・・
”シカたなくない因果応報” の淡々としたストーリーに、大人になった今の方が何倍もどきどきさせられます。
「忘れてはいけないこと」を「忘れない」・・そんなことが、「あたりまえすぎて忘れられている」・・
懐かしいイソップ(Aesop)童話。
忘れないように 読み継ぐ。
シカが出会ったのは、せんべいではありませんでした。
ブドウ石・・と言っても、鉱物名の「ブドウ石」ではありません。このブドウ石は、流紋岩に染み込んだであろう熱水の結晶?らしきものが、紫色のブドウのように見え、さらに緑色の結晶がブドウの葉のような形をしている石です。ブドウの輪郭にそって、母岩が白く変色しているので母岩を熱で変化させるような作用があったことは間違いないのですが、紫色の鉱物と、緑色の鉱物が、きれいに分かれて各々結晶しているプロセスは???です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
糸魚川の海岸には「模様のある石(絵石)=ピクチャーストーン」がたくさんあります。
そんな”糸魚川ピクチャーストーン”を拾って、”拾ったままの色と形”を、無加工(描かない・削らない・磨かない)のままあそびます。なぜなら・・・
形?模様?色?なんとも言えない微妙な曲線?・・・石の何気ない、ささやかな、取るにたらない、見逃しそうな小さな表情を、あなたの目がひろいあげた。模様に触発されて、うきうきして、みるみる想像がふくらんでいく・・・”あなたのその想像の先”は、こんなふうに紙に描いて、その上に石を置いてみるのです。
石は、ただそのまま置きます。石に描いたり・削ったり・磨いたりしないで、石は海岸でひろった自然石そのままで。
石から広がってゆくあなたの世界のその先は・・・
その石は何千万年も前のマグマで、石の模様は、地中でマグマに熱せられた熱水が茶色く染めたもの。いわば地球が作り出した模様です。
模様に見えているけれど、それは、地球が今もまだ内部をふつふつとたぎらせ、ダイナミックに身をよじり、憤怒それとも躍動する喚起の雄叫びのごとく天を突きあげ、吹き出し、大地をゆるがした痕跡が記されているのです。
模様に見えているけれど、それは地球の何千万年の鼓動をつづった物語なのです。
あなたが拾った小さな石のその模様は、「何千万年の地球の歴史のなかでおこった大事件を、模様にして封じ込めた記録・タイムカプセル」なのです。
糸魚川ピクチャーストーンの ”一番の醍醐味” は、その石の、その模様が生まれた何千万年の物語りを、近くにあるフォッサマグナミュージアムで、学芸員さんに読み解いてもらうことができることです。
石の模様は、地球がダイナミックにうねりながら大地の形を変えてきた痕跡。
そんな地球の何千万年の物語りを秘めて、今、手のひらにのる小さな石。
”地球の歴史”と”あなたの想像力”が、この石の上で出会う。
海岸で、あなたが地球上ではじめてこの石を発見して一緒にあそぶそれは、「地球と共作するアート」。
こんなふうに石とあそんでみませんか。
糸魚川の海岸には、何億何十億個の石があって、その中から自分が心ときめいた石を拾う。
その石は多分、人それぞれ違っていて、どれもが、みなそれぞれの魅力を秘めている。
一人でも多くの人が探したならば、それだけたくさんの魅力が発見されるでしょう。
だから、多くの人に、糸魚川ピクチャーストーンであそんでほしいのです。
絵本「はまべにはいしがいっぱい(1961年)」は、「あおくんときいろちゃん」「スイミー」で有名なレオ・レオニが、想像・創造したさまざまな模様の石を描いた、最初から最後まで鉛筆画の石だけの絵本です。文字・数字・魚・鳥・動物・人の顔をした石・・・こんな石があったらおもしろいね、こんな石が世界のどこかには本当にあるかも知れないよと、どこまでも自由な発想・空想は、子どもたちをわくわくさせてくれます。
そんなレオ・レオニの絵本の世界が、現実の世界「糸魚川」の海岸にそのままあります。
最近は、リアルをバーチャルにすることが流行っていますが、糸魚川ではバーチャルがリアルになっているのです。
糸魚川ピクチャーストーンは、文字・数字・魚・鳥・動物・人の顔・・・レオ・レオニの空想の世界を、何千万年もかけて”地球”が本物の現実の石にして海岸に届けているのです。
糸魚川ピクチャーストーンの作者は、「地球」。
デザインに絵本、幅広い芸術活動で活躍したブルーノ・ムナーリの「FROM AFAR IT WAS AN ISLAND (遠くから見ると島 1971年)」は、さまざまな模様石の写真集です。石そのままの写真だけでなく、石の白い脈を地平線や木立や波などに見立てて、そこにブルーノ・ムナーリが人や動物を黒いシルエットで描き加え、石のなかに一つの世界を作り出しています。
そんなブルーノ・ムナーリの世界も、ここ糸魚川の海岸にそのままあります。
ブルーノ・ムナーリが石に描き加えた、魚の目やエラ、地平上の生き物の姿を、糸魚川では何千万年もかけて”地球”が本物の現実の石(ピクチャーストーン)にして海岸に届けているのです。
糸魚川ピクチャーストーンの作者は、「地球」。
【tamatama7373(たまたまなみなみ)】