点は、やがてひとつの線でつながります。
9つ前のブログで、春のきざしを感じて魚津漁協を右折して立ち寄った海の駅「蜃気楼」。
3つ前のブログで、思いがけず見た「四角い夕日」
おととい3月3日のひな祭り・・・・
共通するキーワードは「辰」でした。
「辰」の文字がはじめてあらわれるのは、最古の文字の資料である「甲骨文」です。
「辰」は、「蜃」(シャゴウ)の象形(つまり原字)です。
「辰」は、”二枚貝が、殻から足を出している” 形を現しています。
殻から舌のような足を出している二枚貝、そうハマグリです。
それも大きなハマグリという意味です。
と、ここまでは、白川静「字統」、諸橋轍次「大漢和辞典」、「漢字語語義辞典」などみな同じ見解です。
が、ここから先の解釈は、上記以外の出典において実にさまざまにふくらんでいきます。
「蜃」の意味は、「大きなハマグリ」と「想像上の動物・・・気を吐き海上に幻の楼台をあらわす巨大なハマグリ、もしくは角のある竜の一種」とか。
「蜃」(シャゴウ)はシャコガイ科の貝で、殻を開くと大きな舌をふるわせていることから、ふるえ動くイメージにつながる・・・とか。だから「辰」は振動の振とか、地震の震などふるえることにつながるとか。
また自然科学からは、「ハマグリ」は、水管から粘膜を出して、これを水中にただよわせて、移動する・・・つまり1,2mもの粘膜の網を水中にひろげて、これが潮流にのって、流されることによって移動する。とか。
まあ、難しいことは専門の方にまかせて、私がこれらをまとめてざっくりと思うには、早春はまさに貝の旬です。ハマグリは特に身がふくふくと充実して美味しい季節です。古の方も、この時期、こぞって採取し食べたことでしょう。そんな早春の海に、忽然とあらわれるのが蜃気楼です。海と上空大気の気温差で光が屈折する・・・なんて太古の方々は知る由もありません。海上ににわかにあらわれる見たことのない都市に、恐れをなしたことでしょう。
恐ろしい出来事は、理由がわからずにただ恐ろしがっているだけでは、余計に恐ろしいものです。
なにか、腑に落ちる理由をつけずにはいられません。
そんな時、海の中で、口から半透明の大きな粘膜を海中に吐き出しているハマグリの姿が思い浮かんだのでしょう。
蜃気楼のゆらゆら揺れる不鮮明な映像と、ハマグリが口から粘膜を広げて海中にゆらゆらただよわせている様子が、記憶の中でシンクロしたのでしょう。
おまけに、貝の旬とばかりに、ハマグリをたくさん食べているこの頃、ハマグリを採りすぎて、ハマグリのたたりに違いないと胸に手を当てたのかも知れません。
蜃気楼をみて、この海上の不思議な映像は、大ハマグリが、気を吐いて、その気が海上に見たことのない楼閣都市を造り出しているに違いない。
大ハマグリが気を吐いて作り出した楼閣。
だから、蜃気楼。と名付けたのでしょう。
蜃気楼とは、冷たい空気と暖かい空気の二層で光が屈折してできるもの、ということだけじゃなく、古の人たちが想像たくましく”これは大ハマグリが気を吐いてつくりだした楼閣だ”と考えたのが語源や意味になっているということもおぼえておきたいものです。
「四角い夕日」も蜃気楼現象の一種ということで、先日思いがけずこの春の風物詩を見ることができたのですが、さらに思いがけないところに落とし穴がありました。
肝心のひなまつりのうしお汁にする「国産の大きなハマグリ」がどこをさがしてもないのです。
店に並んでいる小から中くらいの大きさのハマグリはすべて中国産。
やっと見つけた国産の熊本産ハマグリは、実にちっちゃい粒のもの。
うーん、イマドキの地方の中規模都市では、こうなの?
国産の大きなハマグリは、まぶたに浮かべど、どの店にもない・・・大ハマグリそのものが蜃気楼になっている・・・
まあ、ひな祭りはハマグリ需要の特異日だから仕方ないとして、貝の旬はまだまだ続くのだから、そのうちに・・・・そのうちに・・・
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