滋味日日・・よく食べることはよく育むことだから

食べものにていねいにむきあうと、食べものは思わぬ底力をみせてくれるものです。驚かされて、感謝して・・・そういうところに ”滋味” は育まれて・・・

イマドキの”かつおぶし”は、煮て乾かしただけの、カビ付けしていないものが主流になっていたなんて・・・

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 かつお節の生産方法は、おおきく様変わりしました。

 かつおを切る⇒煮る⇒(0)乾かす(火でいぶす「焙乾」)(1)整形(焙乾による表面のタール分を削りおとす)⇒天火乾燥&カビ付け(一番カビ)(2)天火乾燥&カビ付け(二番カビ)⇒天火乾燥&カビ付け(三番カビ)⇒(3)天火乾燥&カビ付け(四番カビ)・・・


(0)までのものを「荒節」といいます。
   カビ付けしていない、煮て乾かしただけのもの
   JAS規格ではこれが「かつおぶし」と表示されます。
(1)以降のものを「仕上節」といいます
(2)以降のものJAS規格で「かれぶし」と表示できます
(3)以上のものを「本枯節」といいます

 以前、国内のかつお節製造は、ちゃんとカビ付けと天然乾燥をした仕上節をつくるのが大多数で、カビ付していないただ煮て乾かしただけの荒節を作る工場はめずらしかったそうです
 ところが、「商品になるまでの期間が短くてすぐお金になる」荒節を作る工場が増えていって、増えていって・・・・いまではほとんどが荒節をつくる工場になったそうです。


今日のJAS規格の品質表示では、

荒節(整形のタール落としも、カビ付けもしていない)は、「かつおぶし」と表示される
二番カビ以上のカビ付けをしているものは、「かれぶし」と表示できる

 それなので、かつおぶしと表示されている削り節は、花かつおとしてサラダや冷奴などのうえに直接ふりかけて食べるには、口当たりがやわらかくていいのですが、そもそもカビ付けの熟成をしていないので、香り立つうま味のある出汁だしようがないのです。

 かつおの削り節をつかう時は、
 原材料名の「かつおぶし」と「かれぶし」を確認して、料理によってつかいわけることが大事です。

 やっぱり、自分の味覚がおかしいのではなかった。かつおぶしの定義がいつのまにか変わっていたのですね。
 カビ付けして熟成した味わいのあるのがかつおぶしというのは、もう古い常識になっていました。

 きのうのブログに書いたように、出汁をとるときは、「かれぶし」と書かれた削り節を入れないと、自分の思うかつお出汁の味がでないのは、そういうことだったのでした。
 昨晩ブログを書いた後、本棚から「かつお節と日本人」宮内泰介・藤林泰 著 岩波新書をひっぱりだして読んで、農水省のHPを見て納得しました。

農水省の「削り節の品質表示」平成20年8月6日告示第1273号 

削り節に、産地偽装かれぶしじゃないのにかれぶしと表示して指導されていることは農水省のHPに。
農林水産省/かつおぶし関連加工品の食品表示の適正化について

カビ付けしたカツオ節の削り節の表示はこう
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 「かつおぶし」のJAS規格・・製造者の常識は、私たち一般消費者の常識とちがうことはままあります。確かに、「カツオ節」はカビ付けして熟成したものだなんて誰も言っていないわけで、「かつおのふし」=かつおを切ったものとしか言っていないじゃないかというのは、ごもっともなわけです。昔はそんなことを言わなくても、手間暇かけてカビ付けしたものをカツオ節として生産していた、そういう生産者の良心を信頼していた時代があったわけです。私にとって「かつおぶし」じゃないものが今や堂々と「かつおぶし」なわけで、これは国会で稲田大臣が「戦闘」は「戦闘」じゃないの逆版で、こういう言葉の揚げ足取りみたいなことは、心を失うようでさみしいですね。